占い師は、聞かれたことだけに答えればいいのか

ニーハオ!
台湾の龍羽ワタナベです。
鑑定では、相談者が口にした質問へ正しく答えることが基本です。

けれども、質問の奥にある考え方や前提に危うさが見えたとき、占い師は聞かれたことだけに答えればよいのでしょうか。
これは、技術だけでは答えの出ない、鑑定姿勢の問題です。

占う前に見えていた二つの違和感

以前、会社勤めに飽きたので「焼き鳥屋でも始めたい。自分に合っているか」と尋ねた男性がいました。
別の女性は、事務の仕事がつまらないから独立したいものの、何をすればよいか分からないと言いました。
二人に共通していたのは、独立したい理由が、今の状況から逃れたいという気持ちに偏っていたことです。

これまでの経験をどう活かすか、どうしても実現したいことは何かという軸も、まだ見えていませんでした。
起業や独立は簡単ではありません。
長く経営者として仕事をしてきたワタシには、その大変さも、やりがいや楽しさも分かります。

だからこそ、独立そのものには賛成でも、準備のない一歩をそのまま後押しすることはできませんでした。

耳ざわりのよい答えが、誠実とは限らない

適性だけを占い、「あなたにはこれが向いています」「この時期なら運気が上がります」と答えることはできます。
相談者が聞きたい言葉を返せば、その場では喜ばれるかもしれません。
しかし、失敗しそうな前提に気づいていながら何も伝えなければ、それは占い師として無責任ではないか。

一方で、質問されていないことまで言えば、余計なお世話と受け取られることもあります。
この二つの間で迷う場面は、鑑定を続けていてもなくなりません。

質問に答えながら、その人を守る

この二人には、まず今すぐ独立を急がないこと、経験や学びを重ねる中で、本当にやりたいことを見つけることをお伝えしました。
そのうえで、質問された適性や、将来のタイミングについて占いの結果をお話ししました。
残念そうな表情をされても、良くない方向へ進むのを黙って見過ごすより、ご本人のためになると考えたからです。

大切なのは、正論を押しつけることでも、望む答えだけを返すことでもありません。
相談者が何を求めているかを尊重しながら、見えている危険を丁寧に言葉へ変えることです。
占い師の仕事は、結果を述べて終わるものではありません。

相談者が現実を見失わず、自分の足で次の選択をできるよう支える。
そのために必要なら、聞かれたことの少し先まで誠実に伝えるのが、ワタシの選ぶ答えです。