台湾の「鬼月」とは? 暦を意識して暮らす人に宿る品格

旧暦7月は、毎年「鬼月」と呼ばれます。

2026年は8月13日から9月10日まで。現在も旧暦が暮らしの中に息づく台湾では、この一か月を今も大切な節目として過ごします。

日本のお盆も、もとをたどれば、旧暦7月に行われてきた盂蘭盆や中元の文化が日本へ伝わり、祖先供養の習慣と結びついたものです。

似ているというより、同じ東アジアの暦と祈りの流れから生まれた行事といえるでしょう。

あの世の門が開く「鬼月」

台湾では、霊のことを「鬼」と呼びます。

旧暦7月になると、あの世の門が開き、ご先祖様のような良い霊も、未練や恨みを残した霊、供養されていない霊も、この世へ降りてきて身近にいると考えられています。

門が開いている一か月、追い払おうとしても仕方がありません。

そこで台湾では、霊たちの機嫌を損ねて悪さをされないよう、食べ物や冥紙を供え、手厚く接待します。

霊を「好兄弟」と親しみを込めて呼ぶのも、敬意を払い、穏やかに過ごしてもらうためです。

鬼月には、次のことを避ける習慣があります。

  • 結婚式や引っ越し
  • 家や車など高価な買い物
  • 新しい店舗の開店
  • 海や川での水遊び
  • 夜に洗濯物を干すこと

開店日を動かせない場合は、鬼月中を仮オープンとし、鬼月が明けてから正式に開店することもあります。

経済活動が少し静かになる時期ですが、休む節目があるからこそ、また力を蓄えて動けるのかもしれません。

マンションの住民も集まる中元節

鬼月の真ん中、旧暦7月15日は「中元節」です。

2026年は8月27日にあたり、台湾各地で霊をもてなす中元普渡が行われます。

この時期に台湾を訪れ、マンションや大きな施設の入り口に、食べ物や飲み物などの供物が山のように並んでいるのを見た方もいるかもしれません。

私が暮らすマンションでも、年に一度、中元節には住民が集まり、豪華な食事やたくさんの供物を用意します。

普段は顔を合わせることの少ない住民たちが、同じ場所に集まり、目に見えない存在を丁寧にもてなすのです。

昔からの風習が、今も暮らしの中で息づき、人と人をつなぐ行事にもなっています。

暦を知ることは、品格を磨くこと

日本でも、ひな祭りにはひな人形を飾り、端午の節句には兜やこいのぼりを出し、お盆にはご先祖様を迎えます。

こうした行事を自然に大切にしている人を見ると、素敵だと感じませんか。

伝統を知ることは、古い決まりへ盲目的に従うことではありません。

季節の節目を知り、目に見えないものや、長く受け継がれてきた価値観を雑に扱わないことです。

その姿勢は、暮らしだけでなく、言葉や振る舞いにも静かな品となって表れます。

占い師として誰かの人生に向き合う人なら、知識や技術と同じくらい、こうした品格を育てることも大切です。

今年の鬼月は、旧暦の節目を少し意識し、ご先祖様や、今あるご縁へ静かに手を合わせてみてはいかがでしょうか。