清明節には家族総出でお墓参りでご先祖様に応援してもらう

台湾(日本語)

↑台湾の歌姫 テレサテンのお墓

【清明節とは何か】

台湾は毎年4月の4日か5日頃、清明節を迎えます。

清明節は「チンミン ジエ」と発音するのですが、
余談ですが、多分沖縄の「シーミー」は
ココから来ていると思います。

この日は「掃墓」(サオムゥ)と言い、
「お墓のお掃除」つまりは、

お墓参りの日ということです。

台湾の墓地↓

台湾人の人生観では、
この世以外にあの世が存在すると考えています。

ですから、あの世のご先祖様のために
家族が揃ってお墓参りに行くことは、
絶対なんです。

お墓を大切にする=ご先祖様を大切に思う、
という事であり、

そうすることで、
あの世のご先祖様がこの世の私たちを
守ってくださる、というわけです。

ですから、お金持ちはご先祖様のために、
それはそれはりっぱなお墓を建立します。

明石元二郎墓碑↓


【お墓の風水】

風水ってご存知ですよね、

風水で店や事務所、自宅などを整えて、
少しでも良い氣を取り入れ、

運気アップを図ろう、

という考えなのですが、
日本でも結構、人気ありますよね。

でも、日本のは、言っては何ですが、

台湾のと比べるとお子様ランチ的な
ちょっと万人受けを狙いすぎっぽい感じですねぇ

「西に黄色で金運アップ」みたいな~

台湾の風水と言えば、もっともっと複雑で、
しかも陽宅と陰宅に分かれているんです。

陽宅が、今私たちが生活しているこの世の中、
つまり店とか事務所、自宅が、陽宅。

陰宅は、お墓、ということになります。

つまり、先述したように台湾人の人生観には、
あの世が存在するので、
この世の風水を整えるだけでは、不十分、

ちゃんとあの世のご先祖様のために、
お墓の風水も頑張らなくちゃいけないわけです。

風水の話は、また別の機会にすることとして、
清明節に話を戻します。

とにかく台湾人はあの世の存在をこの世と同等か
それ以上に大切にしている、わけです。

テレサテンのお墓の入り口↓

【掃墓(お墓参り)の方法】

清明節は、台湾の人にとっては
親戚一同が集まっての一大イベント。

そのために、普段は都会で生活している人も
この時ばかりは、地元に戻って、

ご先祖様の元に馳せ参上しなければならないのです。

伝統的な台湾のお墓は、山の中にあることが多く、
お墓に着くまでが、結構大変だったりします。

お墓では、持参してきたお供え物(お菓子や果物など)
やお線香をお供えし、

お墓の掃除や修繕、周辺の草むしり等をします。

そして、「掛紙」(赤、白、黄など色とりどりの紙)を束ね、
上に小石をのせて周辺におきます。

これは、子孫が来ました~という印だそうです。

また、冥銭(紙銭)も燃やします。

これはあの世でご先祖さまたちが使う
「あの世のお金」のことで、

いっぱい燃やせば燃やすほどご先祖さまたちが豊かになる、
と考えられていますが、

昨今は環境問題なのに配慮して、
量を減らしたり、取りやめたりしています。

また、用意してきたゆで卵を各自それぞれでカラをむいて、
食べます。

そしてそのカラをお墓の周辺や墓石の上にバラまきます。

これは、「卵から生命が誕生する」ことや
「殻を脱ぎ捨てる」などの意味から、

ご先祖様の存在があるが故にこの世に生を受けたことに感謝し、
また、次世代に命を繋いでいくことを願ってのことなのです。

お墓にスペースがあれば、
お墓の前で親戚一同で飲み食いをします。

こうすることで、あの世のご先祖様と一緒に過ごし、
食事やおしゃべりをご先祖様にも楽しんでいただく、
というわけです。

そんなにスペースがなかったとしても、
さっさと帰るようなことはしません。

ご先祖様に寂しい思いをさせないように、
少しの間はそこにいるのが

ご先祖様へのマナーと言えます。

そして、帰る前には、「ポエ」を使って、

「ご先祖様、そろそろおいとましようかと思いますが、
よろしいでしょうか?」

とお伺いをたてます。

「ポエ」とは、
赤いライターくらいの大きさの三日月型の木片のことで、
台湾人は、神様やあの世の方に質問をする時には
これを使う習慣があります。

台湾の寺廟には、祭壇の前に必ず置いてあります。
この「ポエ」を2つ用意し、
イエス・ノーで答えられる質問をしてから、
地面に投げるのです。

もし、裏表になれば、陰陽が整ったことなので、
OKの意味になります。

お墓参りの時も同様で、裏表になれば、
そのまま片付けをして、帰ることが出来ます。

しかし、もし、裏裏とか表表だったなら、

ご先祖様は、そこにまだいて欲しい、

ということなので、帰ることはできません。

しばらく、そこでおしゃべりでもしながら、
10分後くらいにまた、ポエをします。

ポエでOKがでるまで、繰り返します。

もし、ポエがない場合は、
コインなどの裏表がはっきりわかるもので代用します。

また、台湾人は、あの世の存在を大切に考えると同時に
「輪廻転生」も信じています。

そのことから、多くの年配者は「土葬」を
望んでいるのですが、

土地が高い台湾のこと、
土葬はどうしてもお墓面積を広く必要とするために、

お金持ちにしかできない叶わぬ夢、となっています。

ですから、最近は火葬し納骨堂に納めるのが
一般的になってきました。

そのため、掃墓の行事も、
だんだん簡素化しているのが現実です。


【あの世の存在を信じるということは・・・】

台湾人は、あの世の存在を信じることから、
信心深い人がとても多いです。

そして、現世でより沢山の「徳」を積むことが、
あの世での良い生活に繋がる、

あるいは、生まれ変わった時に良い生活ができる

と考えているので、

お金持ちは、寄付やボランティアにかなり力を入れます。

そしてお金持ちは、

自分の家や会社の風水を整えるだけではなく、
広いお墓を風水に則って作ることが出来るため、

ご先祖様もあの世で良い生活がおくることが
できるようになります。

そしてこの世の子孫を一生懸命に応援してくれる、

応援された子孫は、またご先祖様に感謝をして、
いろいろ尽くして~

という好循環が生まれているのかもしれません。

私たちも、ぜひ、日常的に仏壇に手を合わせたり、
時間を作ってお墓参りに行くようにしましょう。

その時には、
自分のお願いごとばかりをするのではなく、

先ずはご先祖様に感謝の気持ちを伝え、
ご先祖様のあの世での生活が順調に行くことを
お祈りします。

それから、近況報告などをするといいでしょう。
ご先祖さまとのおしゃべりを楽しむ感じです。

そうすることでいっぱいご先祖様に
応援していただけるようになります。